Shopifyの売上で確定申告:数字をどこから取るか
申告の時期にいちばん多いつまずきは、「銀行に入ってきた金額をそのまま売上にしてしまう」ことです。Shopify Paymentsの入金は、決済手数料と返金が差し引かれたあとの金額なので、これを売上にすると売上も経費も実際より小さくなります。この記事は、どの数字をどこから取り出すかという作業の順番をまとめたものです。
この記事は一般的な情報の整理であり、税務相談や個別の税務判断ではありません。ご自身のケースにどう当てはめるかは、顧問税理士にご確認ください。
1. 「売上」と「入金」は別物として扱う
Shopify Paymentsを使っている場合、銀行に振り込まれる金額は次のような構造になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 注文の総額 | 商品代金+送料−値引(消費税を含む) |
| − 決済手数料 | Shopify Paymentsが差し引く分 |
| − 返金 | 同じ期間に返金があれば相殺される |
| = 入金額 | 実際に銀行口座に入る金額 |
入金額だけを見て記帳すると、売上が手数料の分だけ小さくなり、経費に計上できるはずの決済手数料も消えます。返金があった月は、さらにずれます。売上は注文側の金額で把握し、入金額との差を手数料と返金に分けて記録する——これが出発点です。
入金のタイミングも注文と一致しません。月末の注文が翌月の入金になるのは普通のことで、その差は年末に売掛金として残ります。
2. そろえる資料は4つ
- 対象期間の注文データ。税率別(10%/軽減8%/対象外)の内訳が分かる形が必要です
- 返金データ。いつ、いくら、どの注文に対して返したか
- Shopify Paymentsの入出金明細。入金額と決済手数料が確認できます
- Shopifyやアプリの利用料の請求書。経費側の資料です
1と2はShopify管理画面の「注文」からCSVで書き出せます。3は管理画面の決済・入金の画面(Shopify Payments の売上・入出金)から、4は請求関連の画面からダウンロードできます。画面の名称や配置は変わることがあるので、見つからない場合はヘルプセンターで最新の手順をご確認ください。
Shopifyやアプリの利用料の消費税の取り扱いは、契約先や登録番号の有無で変わります。決済手数料の消費税区分も判断が分かれる論点です。いずれも税理士にご確認ください。
3. つまずきやすい3点
税率別の内訳が要る
食品や定期便を扱っていると、1つの注文に10%と軽減8%が混ざります。合計金額だけでは消費税の集計ができないため、売上・送料・値引を税率ごとに分けた金額が必要です。値引は「どの税率の商品に効いた値引か」で按分が要ります。詳しくは軽減税率8%が混ざる注文の仕訳に書きました。
返金を「売上のマイナス」にしない
返金は、通常の課税売上をマイナスで打ち消すのではなく、返還の税区分(対価の返還等)で計上するのが一般的な整理です。売上をマイナスで相殺すると、課税売上高そのものが小さく出ます。免税事業者の判定や簡易課税の計算に関わってくる部分なので、返品が一定数ある店ほど影響します。
12月注文・1月入金の期ズレ
所得税では原則として、入金の時点ではなく売上が確定した時点で計上します(権利確定主義)。12月の注文は12月の売上として計上し、年末時点では売掛金として残ります。現金の動きで計上できるのは一定の要件を満たして届出をしている場合に限られるため、どちらに当たるかは税理士にご確認ください。
年末をまたぐ返金も同じ論点になります。前年の売上に対する返金が年明けに発生した場合の扱いは、金額が大きいほど確認しておく価値があります。
4. 年内にやっておくと1月が楽になること
申告の作業量は、12月までに何をしておいたかでほぼ決まります。1月にまとめて1年分をさばくのがいちばん重いので、次の3つだけでも先に手をつけておくと変わります。
- 月次で記帳する。1年分の注文CSVを1月に開くと、税率別の按分も返金の突合も一度に襲ってきます
- 毎月、入金額と売上を突き合わせる。ずれた月をその場で潰しておくと、年末に原因不明の差額が残りません
- 12月末時点の売掛金を出せる状態にしておく。未入金の注文がいくらあるかが分かれば、期ズレの処理は機械的に終わります
会計ソフト側の締めの前に、記帳漏れがないかを一度確認しておくことをおすすめします。特に返金は、売上の記帳だけ済んで返金の記帳が漏れる形で残りやすい項目です。
5. アプリで自動化する場合
当社が開発している 仕訳ブリッジ(Shopifyアプリ)は、注文と返金を税率別に分解した仕訳として、freee会計・マネーフォワード クラウド会計へ記帳します。弥生会計へは仕訳インポート形式のCSVで出力できます。
- 売上・送料・値引を税率(10%/8%/対象外)ごとに、明細の実額で分解
- 返金は返還の税区分で計上(通常の課税売上をマイナス計上しません)
- 記帳する前に借方・貸方・税区分をプレビューで確認。自動記帳はご自身でONにするまで動きません
- 期間を指定して、会計ソフト側に実在する仕訳と突き合わせ、記帳漏れ・金額差・返金漏れを検出
- 計上日は出荷日/注文日を選べます
無料プランでも、記帳前のプレビューと税率別の仕訳は確認できます。まず自分の注文がどんな仕訳になるかを見てみてください。
よくある質問
銀行に入金された金額を売上にしてはいけないのですか
Shopify Paymentsの入金額は、注文の総額から決済手数料や返金を差し引いた後の金額です。入金額をそのまま売上にすると、売上と経費(決済手数料)の両方が実際より小さくなり、返金も見えなくなります。売上は注文側の金額で把握し、入金額との差額を手数料・返金として分けて記録するのが基本的な整理です。
12月の注文が1月に入金されました。どちらの年の売上ですか
所得税では原則として、入金した時点ではなく売上が確定した時点で計上します(権利確定主義)。この場合は12月の売上として計上し、年末時点では売掛金として残るのが一般的な整理です。現金の動きで計上できるのは一定の要件を満たして届出をしている場合に限られるため、ご自身がどちらに当たるかは税理士にご確認ください。
申告のためにShopifyから出しておく資料は何ですか
対象期間の注文データ(税率別の内訳が分かる形)、返金データ、Shopify Paymentsの入出金明細、そしてShopifyやアプリの利用料の請求書の4つが基本です。これらがそろうと、売上・返金・決済手数料・経費を突き合わせられます。