NP掛け払いか、自社の掛売りか:手数料と引き受けるリスクで比べる

法人の取引先から請求書払いを求められたとき、選択肢は大きく2つです。決済代行に任せて与信から回収まで外に出すか、自社で掛売りを回すか。料金表だけを並べても決まらないのは、両者で引き受けるものが違うからです。

最終更新: 2026年9月23日 / 料金の確認日: 2026年9月23日

先にお伝えします。この記事を書いているツナギメは、自社で掛売りを回すためのShopifyアプリ「掛売り請求 ツナギメ」の開発元です。決済代行の例として取り上げるNP掛け払いの情報は、すべて同サービスの公式サイトに掲載されている内容を、確認日を添えて引用しています。

違いは「誰がリスクと事務を持つか」

NP掛け払いの公式サイトでは、同サービスを「未回収保証型の企業間後払い決済サービス」と説明しており、与信審査・請求書発行・代金回収・入金管理・督促までを代行するとしています。自社の掛売りは、そのすべてを自分で持つ形です。

項目決済代行(NP掛け払いの場合)自社の掛売り
与信審査サービス側が行う自社で判断する
代金が回収できなかったときサービス側が保証(公式サイトの表記は「未入金は100%保証」)自社の損失(貸倒れ)
請求書の発行・送付サービス側が代行自社
入金管理・督促サービス側が代行自社
主な費用請求額に対する手数料+固定費事務の手間、ツール代、貸倒れ

出典: NP掛け払い 公式サイト(np-kakebarai.com、2026年9月23日確認)。

NP掛け払いの料金(公式サイトの掲載)

公式サイトのトップページには、次の料金レンジが掲載されています。

  • 初期導入費用:0円
  • 債権買取手数料:0.2〜0.5%(非課税)
  • システム利用料(変動):1.0〜3.1%(課税・税別)
  • 成約サポート手数料:0〜252円(課税・税別)
  • システム利用料(固定):12,000円〜(課税・税別)

あわせて「取り扱い商材、販売方法などによって異なります」とあり、料金ページでも個別に提案する形だと説明されています。つまり実際の料率は見積りを取るまで確定しません。以下の試算は、あくまで掲載レンジから機械的に計算した目安です。

試算:掛売りの請求額が月300万円の場合

費目下限で計算上限で計算
システム利用料(変動)1.0〜3.1%30,000円93,000円
債権買取手数料 0.2〜0.5%6,000円15,000円
システム利用料(固定)12,000円12,000円〜
月あたり48,000円120,000円〜
年あたり576,000円1,440,000円〜

成約サポート手数料(0〜252円)は、どの単位で課金されるかが掲載情報からは読み取れなかったため、この表には含めていません。税別・非課税が混在している点にも注意してください。

幅が大きいのは、料率が取引内容で変わるためです。いずれにしても、請求額に比例して増える費用だという性質は変わりません。売上が伸びるほど、手数料の絶対額も伸びます。

自社で持つと、引き受ける3つのこと

1. 貸倒れ

決済代行の手数料は、言い換えると未回収リスクを引き取ってもらう対価です。自社で持つなら、そのリスクが手元に残ります。比べるべきは次の2つです。

  • 決済代行:実効手数料(手数料合計 ÷ 請求額)
  • 自社:貸倒れ損失 + 請求・回収の事務にかかる人件費 + ツール代

たとえば月300万円で実効2%の見積りなら、手数料は月6万円、年72万円です。自社に切り替えて、貸倒れと事務の手間を合わせて年72万円より小さく収められるかどうか。取引先が長い付き合いの固定客ばかりで、過去に回収できなかった経験がほとんどなければ、成り立つ可能性は高くなります。逆に新規の取引先が毎月入ってくるなら、1件の未回収で差が消えることもあります。

2. 与信の判断

新しい取引先に、いくらまで後払いで売るか。自社で持つと、この判断を毎回自分で行います。最低限やっておきたいのは、取引先ごとに与信限度額を決め、未入金の残高がそれを超えたら受注や出荷を止める運用です。限度額を決めていても、残高を見ていなければ超えたことに気づけません。

3. 請求と回収の事務

締め日で注文をまとめて合算請求書を出し、入金を請求書に消し込み、遅れている取引先に督促する。決済代行では外に出せる仕事が、すべて社内に残ります。どこで手が止まりやすいかは、別の記事で整理しています。

どちらが向いているか

状況向いている方
新規・スポットの取引先が多く、相手の信用が分からない決済代行
経理の人手がなく、請求・督促を社内で回せない決済代行
取引先が固定で、長い付き合いの相手が中心自社の掛売り
粗利率が低く、数%の手数料が利益を大きく削る自社の掛売り(与信管理が前提)

併用するという選択肢

二者択一にする必要はありません。新規や小口の取引先は決済代行、信用の分かっている取引先は自社の掛売りと分けるのが、手数料とリスクの両方を抑えやすい形です。Shopifyで併用する場合は、取引先ごとに使える決済方法を出し分ける設定が必要です。Shopify B2Bでは、会社のロケーションごとに決済条件を設定でき、チェックアウトで出す決済方法もお客様ごとに調整できます(Shopifyヘルプ「ShopifyのB2B機能の概要」より)。受け付け方の選択肢はShopifyで法人の請求書払いを受け付ける3つの方法にまとめました。

ここに書いたのは決済方法を選ぶための整理であり、税務・法務の判断ではありません。手数料の税区分や貸倒れの会計処理は顧問税理士に、取引条件の定め方は必要に応じて専門家にご確認ください。NP掛け払いの料金・条件は変わることがあります。最新の内容は公式サイトと見積りでご確認ください。

自社で回す場合のアプリ

私たちが開発している 掛売り請求 ツナギメ(Shopifyアプリ)は、自社で掛売りを回すための事務を扱います。与信の判断や未回収の保証は行いません。

  • 取引先ごとの締め日と支払条件(翌月末払い・翌月20日払いなど)で注文を合算し、適格請求書として発行
  • 取引先ごとの与信限度額を設定し、未入金残高が超えたら一覧で分かる
  • 入金の消込、売掛残高と期日超過の一覧、支払期限を過ぎた取引先への督促メール
  • ShopifyのB2B(会社)でも、通常の顧客を取引先として登録しても使える
  • freee会計・マネーフォワード クラウド会計への売掛金の計上(スタンダードプラン以上)

フリープランは取引先3社・月5通まで無料です。

よくある質問

NP掛け払いの手数料はいくらですか

公式サイト(2026年9月23日確認)には、初期導入費用0円、債権買取手数料0.2〜0.5%(非課税)、システム利用料(変動)1.0〜3.1%(課税・税別)、成約サポート手数料0〜252円(課税・税別)、システム利用料(固定)12,000円〜(課税・税別)と掲載されています。取り扱い商材や販売方法によって異なり、正式な金額は個別の見積りになります。

自社で掛売りをすると、何が一番のリスクですか

代金が回収できなかったときの損失(貸倒れ)を自社で負うことです。決済代行は未回収を保証する代わりに手数料を取ります。自社で持つ場合は、取引先ごとに与信限度額を決め、超えたら出荷や受注を止める運用が前提になります。

決済代行と自社の掛売りは併用できますか

できます。新規や小口の取引先は決済代行、長く取引があり信用の分かっている取引先は自社の掛売り、と分ける運用が現実的です。その場合は取引先ごとに使える決済方法を出し分ける設定が必要になります。

どちらが安いかは、どう判断すればよいですか

決済代行の実効手数料(請求額に対する割合)と、自社で持った場合の貸倒れ損失・請求と回収の事務にかかる人件費・ツール代の合計を比べます。手数料は見積りで確定しますが、貸倒れと事務の手間は自社の実績から見積もる必要があります。